[NEWS]第五回「阿賀北ロマン賞」随筆部門、小説部門、創作童話・児童文学部門大賞作品を公開します。



昨年度、第五回阿賀北ロマン賞の各部門の大賞受賞作品及びそれぞれの作品への審査員からの選評を公開いたします。
小説・随筆部門は、「阿賀北ロマン賞」審査員長で作家・「三田文学」編集長の加藤宗哉氏、創作童話・児童文学部門は絵本作家の菅野由貴子氏によるものです。
作品とあわせてぜひご覧ください!


※()内の数字は、応募当時の作者の方の年齢です。

■小説部門 高校生の部 大賞
「あぶらあげと笹団子」 日坂 ひよる(16)
 非科学的な出来事を信じない少年と、キツネの化身との話――と言うこともできそうだが、この小説の読みどころは、「母親」と「神様」が出てくる後半部にあるだろう。少年は小学生のとき、「神様に祈っていれば治る」と言っていた母を病気で失う。記憶の中で「ベッドの白さが増してゆき、外に出かけたときの緑の濃さが薄くなってゆく」というような細部も見事だが、母を失ったことで消えかけた「神様」を初めとする非科学的なことどもが、やがて後添いとしてやってくる女性によって回復していくかに思える終盤が素晴らしい。多少大げさだが、血の繋がりなどというものを超えた生きる者同士の命の讃歌とも言えそうだ。作者の感性と論理もふくめて、その将来性には大いに期待したい。

■随筆部門 大賞
「越後のとりこに」 光原 和義(83)
 随筆作品に求められるのは、なんといっても文章のよさである。格別の技巧や飾りは必要ない。とにかく安心して読めることが肝要。その点で、「越後のとりこに」の作者はさすがに年季を感じさせた。文章には力みもない。……「四十過ぎての子供だったので、甘やかして育てたのか、わがままで、中学・高校時代は非行寸前、成績も芳しくなかった」という一人息子が、どうにか大学は出たものの仕事は続かない。ところが三十近くなった日に豹変し、福祉に関する猛烈な勉強を開始して資格を取り、やがて公務員試験にも受かって新潟への赴任が決まった。それから三年後、息子のもとへ九州から車を運転して老夫婦で会いに行く顛末なのだが、要所に配られた台詞がなんとも効いている。「俺はもう九州にゃ帰らんバイ」(息子)、「ひとり息子を新潟に取られた」(親)、しかし最後には、ふるさとは一つでなくてもいい、「帰らんでよか」と父は呟き、自分たちも「越後の人になる」と思うのである。

■創作童話・児童文学部門 一般の部 大賞
「春をもたらす歌声」 円立 いな(36)
 場面展開・情景が流れるように美しく描かれ、物語全体を通して、阿賀北の自然と空気感がよく表れていた。「ごぜ」と明確にさせないことにより、おとぎ話となり、物語の奥に深みを感じさせる創造性のあるストーリーになったのではないかと思う。「自然と唄との絆」と同時に、新潟・阿賀北の自然・歴史が、現代今につながっているという大きな絆も感じた。阿賀北の本当にある民話のようで心に残る作品だ。



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